
「病棟が向いてないのかも」と感じても、それは「看護師として向いてない」とは別の話だと思っています。
急変対応、夜勤、生活介助、患者さんとの距離感。病棟特有のしんどさを感じながら、「私はここで働き続けられるのだろうか」と迷う時間は、決して弱さではありません。
私は看護師として20年以上働く中で、病棟から内視鏡、透析、外来へと複数の職場を経験しました。この記事では、その経験をもとに、病棟以外の働き方について整理してみます。
病棟看護師の仕事がつらくなる理由と、その本音
病棟には、他の職場にはない独特の重さがあります。急変が起きれば緊張が走るし、重症の患者さんの状態に気持ちが引っ張られることもある。生活介助を通じて患者さんとの距離が近くなるぶん、その分だけ気持ちが重くなる場面もあります。
私も、病棟勤務の中で「あ、今日はしんどいな」と感じる日がありました。患者さんのそばにいることが仕事の核にある一方で、それが心の負担になることもある、というのは、病棟で働く人なら一度は感じることだと思います。
「病棟が向いてない」と感じるとき、それは多くの場合、仕事のスキルの問題ではなく、その環境や距離感が自分に合っていないサインかもしれません。
病棟以外にも、看護師の働き方はたくさんある
「病棟で経験を積まないと」という考え方を、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。でも実際には、病棟以外でキャリアをスタートして長く続けている看護師はたくさんいます。
私が経験した職場をいくつか紹介します。
私が経験した手術室兼内視鏡の職場では、処置や検査を安全に進めるために、限られた時間の中で動く場面が多くありました。患者さんとの関わりは病棟より短く、決まった流れの中で動くことが多いので、ルーチンワークが合う人には働きやすい面もあると感じました。ただ、患者さんとの関係が希薄になりやすいという面もあります。
透析クリニックは、病棟と検査室の中間のような感覚でした。病棟のように常に入退院や急変対応に追われる環境とは少し違う一方で、週3回来院する患者さんと顔なじみになることも多く、適度な距離感で関われます。私自身、透析での10年間は働きやすかったと感じています。新卒から透析一本で続けている看護師もいました。
クリニック・外来は、1日の流れが比較的決まっていて、夜勤がないことも多いです。子育てとの両立を考えたとき、私が最初に思い浮かべたのもクリニックや外来でした。
どの職場にも、それぞれの良さと難しさがあります。「病棟以外は経験にならない」ということはなく、自分に合った環境を選ぶことも、立派な選択だと思っています。
病棟から離れることは、看護師としての「後退」ではない
病棟から異動や転職を考えるとき、「逃げているんじゃないか」と感じる人もいるかもしれません。
私の場合、病棟から手術室兼内視鏡への異動は、自分で希望したものではなく辞令でした。最初は新しいことを覚える不安の方が大きかったです。でも実際に働き始めると、看護師以外の職種——臨床工学技士さんや臨床検査技師さんとの関わりが増えて、それが思いのほか楽しかった。
看護師以外と連携して働く経験は、病棟では得にくいものでした。
職場が変わることで、自分が見える景色も変わります。病棟を離れることが後退ではなく、新しい働き方に近づくことだと、今は思えています。
迷っているなら、まず「距離感」で考えてみる
どんな職場が合うか迷っているなら、「患者さんとの距離感」を軸に考えてみるのもひとつの方法です。
たとえば、生活全体に近いところで関わる病棟、ひとりの患者さんと定期的に関わる透析、短い時間で多くの患者さんと接する外来や検査室、生活の場に近いところで関わる訪問看護。どの距離感が合うかは、人によって違います。
すぐに転職を決めなくても大丈夫です。今の職場に疲れていると感じているなら、どんな働き方があるかを眺めてみるだけでも、少し気持ちが楽になることがあります。
病棟が合わないと感じても、看護師として終わりではありません。働く場所を変えることは、自分に合った看護師の形を探すことでもあると思っています。
病棟が合わないと感じると、「自分は看護師に向いてないのかも」と思ってしまうこともあります。そんな気持ちがある方は、看護師に向いてないかもと思った時の考え方もあわせて読んでみてください。
→看護師に向いてないかもと思った時|自分を責めなくていい理由と心の整理術
病棟以外の働き方を考え始めた方は、転職前に整理しておきたいことも確認しておくと、次の職場選びで後悔しにくくなります。
→看護師に向いてないと思った時の転職|職場を変える前に整理したいこと
訪問看護に興味はあるけれど不安がある方は、未経験で感じやすい不安について書いた記事もあります。

